オイルなんてなんでもいい、違いなんて分からないなんて思っていませんか。ビールの会社も「とりあえずビールという名のビールはない」なんて言ってましたが、オイルもまさにその通り。
例えるなら、打ち上げ花火の尺玉みたいなものです。
つまり、あの丸い花火の球は外からは同じに見えても、中身にはいろいろな種類の火薬が設計通りに入っていて、それぞれどの高さでどれがどんな形に花開くかはちゃんと計算されているわけです。
オイルの中身も同じようにいろんな狙いがあって、それに見合うように分子レベルで設計されています。なので「オイル交換でバイクの性格が変わる」といったら、皆さん何となくワクワクしてきませんか?
自分でできるオイル交換の方法を覚えてれば、本来かかるような工賃分をオイルのグレードアップすることでよりバイクをいたわることができます。
今回は、某大型バイク用品量販店の元オイルケミカル売り場担当だった筆者が、バイクのオイルの選び方や、交換の方法についてお話をしていきます。
Contents
交換は早めに!バイクのオイル交換の方法・やり方
「オイル交換」と聞くとどんな印象を持たれますか?
「面倒くさそう」と思われますか?
はたまた「難しそう」と思われますか?
実は、お風呂の湯船のお湯を入れ替えることができる人なら誰にでもできるほど簡単な事なのです。
通常オイル交換の頻度は、
3000km~4000kmに一度、
あるいは6カ月に一度に
どちらか早く到達したときといわれています。
そして、オイル交換をしないままでいると、
エンジンのフケが悪くなったり、
異音の発生や燃費の悪化、
最悪焼き付いてしまいます。
反対にしっかりとオイルを交換していれば、走行距離を増していっても恐らくエンジンはいつまでも完調を保ってくれますよ。
これは5万キロ・10万キロと長距離を走っていった時に大きく差がわかれるポイントですし、あまりバイクに乗っていなくても時期が来たら交換したほうがバイクの寿命を延ばすことが可能です。
また、バイクのオイル交換手順は
おおむね以下の通りとなっています。
- 交換用のオイルや必要な道具を用意する
- 古いオイルをバイクから出す
- 新しいオイルを入れる
オイルの役割や液体パーツとして求められる性能
オイルはエンジンやミッションを守るために
重要な役目を持った液体パーツです。
基本的にオイルには5つの役割があると言われていて、それに対して求められる性能というは次の通りです。
作用 | 作用目的 | 求められる性能 |
潤滑作用 | エンジン内部の金属パーツ同士の摩擦を減らし、焼き付きと摩耗を防止する。 | (せん断性能)分子の結合を断ち切られにくく品質変化を起こしにくいこと。 (油膜保持性)分子レベルで、絶え間な く油膜を保持しようとする性能。 (物理吸着性)金属に浸透股が吸着してドライスタートを防止します。 |
密閉性・気密性 | ピストンとシリンダーの間の隙間をふさいで、パワーロスを防いでいる。 | |
エンジン洗浄能力 | 燃焼時に発生するススやワニスといった不純物を洗い流してエンジン内部を洗浄する。 | エンジン内部洗浄性能 |
エンジン内部の冷却 | エンジン内部の過剰な温度上昇を防ぐ。 | エンジン冷却性 蒸散安定性能 熱安定性 |
エンジンの腐食防止 | 燃焼時に発生する水分や酸からエンジン内部の錆や腐食から守る。 | 耐酸化性能 |
続いて、車用オイルとバイク用オイルの違い、代わりに車用をバイクに使ってはいけない理由について紹介します。
主なバイク用エンジンオイルの種類
エンジンオイルと言えば4輪車用とバイク用との2つがあります。
車用のオイルが安いからといって
4輪車用のものを使わないようにしましょう。
4輪車用とバイク用のオイルとでは微妙に配合されている成分が異なりますし、クラッチが滑ってしまい最悪の場合走ることもできなくなってしまうからです。
このように見た目は同じように見えて
細かい所は全く違うので
必ずバイク用を使用しましょう。
そして、一口に「バイク用オイル」といってもいろいろな種類があります。
車用オイルを使っては行けない理由や、
オイルの仕組みについて
詳しい解説をしていきますね。
4ストローク用と2ストローク用
本当にこう思っている人が実際にいたのでおさらいしますが、4輪だから4ストローク2輪だから2ストロークというわけではありません。
ストロークというのは
エンジンの燃焼方式です。
4ストロークオイルは潤滑しながら循環するので、一定期間使用した時点で交換する必要があります。
これに対して
2ストロークオイルは構造上
循環機構を持てないので
燃料ごと燃焼させるタイプのオイルを使います。
つまり共有性はないので、
気を付けてください。
車用とバイク用オイル
また、4ストローク用なら何でもバイクに使えるかというとそうではないのです。
車の場合オイルはピストンとシリンダ―、カムシャフトやコンロッド周りを潤滑して、ミッションについてはギア用のミッションオイルが担当します。
参考元: https://www.ysgear.co.jp/mc/oil/yamalube/difference/
これに対してバイクの場合はエンジンとミッション、そしてクラッチも同時に潤滑する構造になっています。
バイクの場合、
車とくらべて潤滑範囲が多いこと
気筒ごとの馬力が高く
車よりも高回転で使います。
なのでより耐久性の高いオイルが必要になる、ということです。
逆に、2輪用4ストロークオイルを4輪車に使用しても問題はありません。(不経済かもですが)
でも、前述のとおり4輪用のオイルを2輪に使った場合、ゆくゆくクラッチが滑ったり、ミッションが焼けてしまいます。
そのため同じ銘柄でもバイク用と車用があって、バイク用あるいは4輪と兼用できるオイルにはミッションを痛めないための減摩材剤が入っていて規格も異なります。
4輪車用オイルと2輪車用オイルの見分け方は?
見分け方はというと
次のようになります。
車用ですと、APIという米国石油協会の定めたSL<SNの規格か、ILSAC国際潤滑油認証&承認委員会が定めたGF-3<GF-5という規格でグレードが缶に書かれています。
バイク用はオイル缶に
JASO MA
あるいはJASO MB
と書いてあればバイクに使用できるオイルです。
ちなみに筆者がオイル交換をする場合は、「まずは純正の中でもグレードの高めなのを選ぶ、俗にいう高品質オイルは店員さんなどにアドバイスを仰いで、使ってみる」みたいに決めています。
筆者のバイクはヤマハのSRですが、すでに初年度登録から20年経過しているものなので、下手なオイルを選ぶよりも、ヤマハのなかでグレードの高いものを使っていますね。
|
JASO規格はMAで品質安定性(せん断性)に優れるもの、MBは摩擦係数に優れたバイク用の低燃費オイルであることを示す日本うまれの規格です。
くれぐれもオイルはバイク用のものを選びましょう。
まあ、バイク用品店でオイルを買うようにすればいいですね!
エンジンオイルの材質と特徴は?
オイルの材質には大きく分け3種類あり
それぞれ見た目は同じように見えても
性能は全く違います。
このような感じですね。
種 類 | 特 長 | 経 済 性 |
鉱物油 | 原油をろ過したり、焼き込んで精製して作られ、基本性能は確保されている。 | リーズナブル |
化学合成油 | 期待される性能を引き出すため、人為的に分子レベルで科学的に設計・合成され、潤滑油として最適なオイルです。 | 鉱物油より高くなる |
半合成油 | 鉱物油と化学合成油を混ぜて、それらのいいとこどりをしたオイルで、性能的にもバランスが取れています。 | 鉱物油と半合成油の中間の値段 |
また、オイルの粒子の大きさは鉱物油>半合成油>化学合成油 となっていて、鉱物油は昔から存在しているため古いバイクに適しています。
古いバイクに化学合成油を使っても性能を発揮します。
しかし、
鉱物油の使用を前提に設計されているエンジンを使用しているので、化学合成油を使用するとオイルの分子が細かすぎてオイルが滲む、という現象が起こります。
なので、オイルについては
その車種の時代に合ったものを
メインに使っていくといいでしょう。
オイルの選び方
オイルの選び方について、さらに細かい所まで説明していきます。
目的で選ぶオイルの種類
ここまでで、大体オイルの大まかな種類や分類がご理解いただけたのではないかと思います。
たまにご質問をいただくのですが、
「同じバイクのオイルで100%科学合成油なのに、
かなり値段の違うものがあるのはなぜか」
というお話をしていきます。
オイルは先述のように、合成・鉱物・半合成という種類があり、これらをベースオイルにして、様々な添加剤が添加されて一つの製品になっているのです。
例えば、100%科学合成オイルの素材も
エステルをメインの原料にするもの、
パラフィンを原料にするものとがあります。
一般的にエステルの方がせん断性や、熱安定性に優れるとされ、高級オイルには大概このエステルをメインにしたものが多いようです。
しかし、原料の比較的安いパラフィンに添加剤を投入することによって弱点を克服し、エステル以上の性能を引き出すことも可能なのです。
あるいは
添加剤の量を減らし、ベースオイルの純度を高める方法で高性能で安いオイルをつくるというメーカーもあります。
こうして各オイルはその狙いによってベースオイルの質や、添加剤の質が違うという為、値段も違ってくるのです。
そうしたことも加味して、ご自分のバイクの走行では、オイルにどんなことを求めるのか、
例えば、熱ダレをしてほしくないとか、高回転まで回しても大丈夫なものとか、あるいは値段を極力抑えて基本性能を押さえたい等の要望に合ったものを選ぶということです。
オイル粘度とは?
エンジン内部の部品には、部品どうしの隙間、つまりクリアランスがあります。
特にピストンとシリンダーで、
クリアランスが大きいもの小さいもの
メーカーやバイクによって様々です。
例えばSSバイクのような高回転高出力バイクにはクリアランスの小さいエンジンが、反対にSR等エンジンのゆっくりまわる空冷エンジンのバイクなどはクリアランスは比較的大きめに取られています。
オイルの粘度は隙間の大きさや狙ったエンジン回転の速さによって設計段階で指定されたものです。
なのでカタログや、メインテナンスノートに指定のオイル粘度が記載されているはずです。
必ずこれをチェックしましょう。
高いオイルでも指定された粘度のオイルを使わないと壊れてしまいますので。
オイル粘度表記の意味
オイルの缶によく5W-40とか
15W-50という表記があるのを
見たことがありますか?
これがオイルの粘度、つまりオイルのやわらかさ、かたさを表しています。
このW冬のWinterのことで、最初の数字は使用できる寒さを表しています。つまり0Wの場合、零下35℃、5Wは零下30℃、10Wは零下25度でも使えますよという意味です。
また後半の数字はオイルが100℃になったときの粘度を表しています。
数字が高くなるほど
オイルは固いオイルになります。
バイクでは、例えば5W-40が指定オイルのところを、10wー50を少し混ぜただけでもシフトが重くなったり、エンジンのフケがやや重くなったりします。
先述の通り、設計上その粘度のオイルが必要となっているわけですから指定粘度は守りましょう。
たったのこれだけを知っておくだけですから簡単です!
あとは車種ごとの特性を知れば
簡単にオイル交換ができるようになります。
不安な場合は用品店の店員さんに車種を伝えて選んでもらいましょうね。
では、実際にオイル交換をしていきましょう。
バイクのオイル交換実践編!
それではオイルの前提知識を理解したところで、バイクのオイルを交換していきましょう。
必要な道具は以下のとおりなので
事前に準備をしておくようにします。
- めがねレンチ12~14ミリ
- 廃油処理BOX
- オイルエレメント
- パーツクリーナーウエス
- 交換用オイル
- 交換用ドレンワッシャー
- じょうご
- フラッシング剤
1.ドレンボルトの開け方と必要な用具
バイクのオイルパンやオイルタンクの最下部には、「ドレンボルト」といってオイルを抜くための「栓」の役目をしているボルトがあります。
どんなバイクにもエンジンの下のほうにこういった太いボルト類があり、これがドレンボルトになります。
向きは地面を向いていたり、
後輪の方向に向いていたりと様々です。
基本的にはこのドレンボルトを開放して
古いオイルを抜き取っていきます。
※KawasakiやヤマハのSR400など、一部の車種ではダブルドレンでドレンが2本あることがあり、ハーレーはホースを下向きにすることでオイルを抜けます。車両によってオイルの捨て方に少しコツのいるバイクがあるので要注意です。
ちなみにSRはこんな感じで
前輪の裏側に
第2のドレンボルトがあったりします。
ここからオイルを抜くのですが、下にちゃんとオイルを受け止めるためのものを用意しなくてはなりません。
一番簡単なのがこれ。
廃油処理パックを使う方法でしょう。
AP オイル処理ボックス 4.5L用【工具 DIY】【アストロプロダクツ】
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このボックスの中には、オイル吸着剤が入っていて、4.5ℓまでのオイルを吸着することができ、燃えるゴミとして処理することができます。
※処理の方法はお住まいの地域の自治体の処理方法に従ってください。
まずはオイルの飛散を防止するために、
バイクの下に大き目の段ボールか
汚れて良いシートなどを敷いておくといいです。
それからこの廃油ボックスを
ドレンの下に用意して、
ドレンを開けてオイルが完全に出なくなるまで待ちます。
ネジは時計回りで締まり、反時計回りで緩むというのが基本ですので覚えておきましょう。
2.オイルフィルター(エレメント)の交換
オイルフィルター(別名オイルエレメント)は、エンジンの中で毎時発生するエンジンの汚れを取り除いてくれる大切なパーツです。
通常のオイル交換ならば
この作業はスルーしてかまわないのですが
2回に1回はオイルフィルターも交換しましょう。
フィルターを外すときにフィルター周りから廃油がどっと出るので、オイルをドレンから抜いた後に交換しましょう。
参考元: https://www.monotaro.com/p/0990/7825/、https://www.noblest.co.jp/products/detail79.html
オイルフィルターには写真のように缶に入って外に出ている外装タイプ(左)と、内装型(右)があります。
バイクによって形状が違うので、適合をしっかり確かめてください。
外装型はフィルターレンチが必要
外装型のオイルフィルターを脱着するにはオイルフィルターを外す必要があります。
力を込めやすい場所についていれば手で回して外すこともできますが、そうではない場合オイルフィルターレンチが別途必要になることもあります。
バイクは車種によって取り付け方法が大きく異なるため、このタイプのレンチが使えないなんてこともあります。このように外周に対して巻きつけて外すタイプのものが一般的です。
そこでもう一つ使用するのが
こちらのソケットタイプのレンチです。
が、なにぶん車種によってフィルターレンチの回し方は大きく異なるので、車種に応じた工具を用意するようにしましょう。こちらはフィルターレンチの正面部分から
レンチを入れるスキマがあれば
使用することができます。
オイル漏れ対策はOリングの管理を適切に
また、内装型には排出側用と吸入側用にゴムのパッキンが必要です。できれば最初からセットになっているものをおすすめします。
参考元: https://www.webike.net/sd/1866347/ https://www.webike.net/sd/1866661/
外装型には缶の淵の所にパッキンのゴムがついています。
いづれのタイプでも、パッキン用のOリングには取り付け時に新しく入れるエンジンオイルを塗っておくのがコツです。
ついでにバイクの部品についている、同じ役目をするリングにもオイルを満遍なく塗っておくといいですね。
これをしないと密閉性が保たれず、
オイルもれの原因になったり、
Oリングがちぎれてしまう原因になります。
そして外装タイプの場合、必ずオイルを缶なのかなにイッパイに注いでから組み付けてください。
ちなみにフィルターは交換前と交換後で、これぐらい違ってきます。
エンジン内の汚れ、排気ガス、気候などなど…普段から過酷な環境にさらされているのがわかりますね。
フィルターの締め込む強さは?
本来フィルターの締めこみは、できればトルクレンチを使って締め込みの強さを計るのがベストです。
こうすることでネジ山が痛んだり、
内部の金属が盛り上がって
フィルターとして機能しない状態を防げます。
締め付けを強くしてしまうと更には
オイル漏れの原因になることもあります
注意しましょう。
この場合はねじを締め込んでいって、ネジの頭が着座(最初に底面に当たってから)3/4回転の位置まで回すと、おおよそ14N/m(ニュートンメーター)になりますのでご参考になさってください。
※規定締め込みトルクはサービスマニュアルや、オーナーズマニュアルなどであらかじめチェックしておきましょう。
後述していますが、特にフィルター交換後はオイルラインのエア抜きをしっかりやってください。
筆者はエア抜きを怠って以前、焼き付いたコンロットがエンジンをたたき割って飛び出してくるという恐ろしい目に遭っています。(それも富士スピードウェイのストレートエンドで・・・。)
もしもトルクレンチがない場合…
手で締め込んでいってキュッと閉まったところから4分の1回転ぐらいの力を入れて様子を見て、漏れるようならまた4分の1回転閉め込む、ぐらいの感じでOKです。
あくまで「締めすぎ」は禁物ですよ!
3.パーツの洗浄
オイルが出なくなったら、パーツクリーナーで周囲についた廃油をペーパーウエスなどでふき取りながらきれいにします。
この作業を怠ると、
付着したオイルが蒸発し
白煙が上がることになります。
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また、最近のドレンボルトにはマグネットがついていて、金属片などの不純物をキャッチできるようになっています。ここもきれいにパーツクリーナーで洗浄しましょう。
ドレンの洗浄が終わったらペーパーウエスでしっかりと拭いてください。
4.ドレンワッシャーについて
ワッシャーは締め込んでつぶれることでオイル漏れを防いでいますので、必ず新品を使うのがエチケットです。再利用禁止!
費用もそこまで高価なものではないので、毎回新しいものを使用するようにしましょう。
このデイトナのワッシャーはエンジンの熱でうまい具合に黒い部分が溶け、スキマを効果的に埋めオイル漏れを防いでくれる機構を備えていますのでオススメです!
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また、ワッシャーはバイクごとに必要な径(大きさ)が異なります。
ショップで適合表をチェックして
バイクに合った径のものを用意しましょう。
5.ドレンボルトの締め込み
必ずドレンワッシャーを付けてからオイルもれの無いよう、写真のようなトルクレンチ・メガネレンチやスピンナーなどできつく締め込みます。※コの字スパナはこの作業に適当ではありません。
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やはりドレンを閉めるにも、本来トルクレンチがあるのがベスト。
↑で紹介している画像のトルクレンチは安価ながらも基本的なトルク管理や締め込みができるので、1本は持っておいてもバイクライフを続けるのであれば損ではないでしょう。
ない場合には先ほどオイルフィルターのお話の中でご紹介した方法をご参考にしていただけたらと思います。
トルクレンチがない場合…
あまり力任せにしないように気を付けないといけません。締め付ける力は二本の指で締まりきるぐらいの強さでOKです。
こうしてドレンを締め終わったら、オイルを入れます。
6.オイルの入れ方と必要な用具
よくある質問ですが、余ったオイルがあるから買ってきたオイルと混ぜて使って大丈夫かという質問があります。
答えとしては、
こういうことです。
- メーカーが同じで銘柄も同じ、粘度も同じなら問題はありませんが、半年以上放置されたオイルとのブレンドは歓迎できません。
- 硬度が違うオイルで、鉱物油同士・合成油同士・半合成油同士なら使用できますが、やむを得ず臨時に使う場合に限られます。
- メーカーが違うオイルを混ぜることはベースオイルが違うのでやめた方がいいでしょう。
- 4輪用オイルと2輪用オイルは性質が違うので、ミッションやクラッチが壊れます。混ぜてはいけません。
例えばママレモンが少し残った容器にチャーミークリーンを混ぜてみてください。
凝固して使えなくなります。
用途が同じだから同じだろうと思うのは人間の勝手であって、原料は違うものなのです。
オイルの選び方や、種類、規格の説明については後述していますのでご参考になさってください。
オイル量と注ぎ方に注意!
その上で、しっかりと必要なオイルの粘度や必要量の把握をしていきましょう。
規定量以上を入れると
エンジンがかからなくなったり
大量なオイル漏れの原因になります。
オイルが用意で来たらまず、缶のオイルを計量ジョッキに適量注ぎます。
ホームセンターとかでは定番のAZ(エーゼット)のジョッキが安価ですし、通販でもバイク用のオイルは扱っています。
合わせ買いでもいいですし、オイルも値段の割に品質は良くておすすめですよ!
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注ぎ口にじょうごを付けます、これをしないと、あちこちにオイルが飛び散って、白煙や火災の原因になります。バイクも汚れますので注意しましょう。
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もしこういったショウゴがない場合には、
よく洗って乾かしたペットボトルを
カッターで切るとちょうどいいものができます。
また、油というものは
その時の湿度や温度によって
量が増減します。
例えばサラダ油などが容量を「グラム」であらわしているものがあるのはそのためで、オイルが規定値に達しているかどうかも毎時変わってきます。
オイルを注いだら必ずオイル量が適正範囲にあるかどうか、点検窓やバイクによってはフィーラーキャップ裏のレベルゲージでチェックしてください。
※フィラーキャップ裏のゲージを使うときは一度外したキャップをウエスで拭って、その後もう一度キャップを閉めてまた外したときの状態を見ます。
※ドライサンプなどの車種によっては
バイクを一度始動し
エンジンを切ってすぐにオイル量を測る必要があります。
整備マニュアルを読んだり、
動画などをチェックして
やり方を確認しておきましょう。
オイルが最大値入ったら、キャップを外したまま5分ほど放置してオイルラインのエア抜きをします。
オイルに泡状のものが浮いていないのを確認できエア抜きが終わったら、エンジンをかけてさらに5分ほどオイルを膨張させます。
この時、バイクのスロットルをふかさないように注意しましょう。オイル交換直後はまだエンジン内に完全にオイルが回りきっていない状態です。
エンジンを切って、3分ほど放置したときにオイルレベルが規定値内にあればOKです。
オイルフラッシングとは?
よく「フラッシング」という言葉を聞かれたことがあると思います。
これはフラッシング専用のオイルを入れて潤滑させ、エンジン内部の汚れを取る作業を言います。例えば、鉱物油から化学合成油等油種を切り替える場合や、エンジン内部のコンディションを保つ時などに行うものです。
工程としては、先述の方法でオイルを抜き
一度ドレンを閉めてフラッシング材を入れます。
オーバーヒートに気を付けながら
20~30分ほどアイドリングして潤滑させます。
再びドレンを抜き、オイルフィルターも交換して新油を入れて完了です。
フラッシングは灯油入りのものを使わないのがオススメ
整備をしている人の多くは知っていることですが、機械の洗浄というのは主に灯油で行われます。
しかし、灯油はゴムやパッキンを侵食することでも知られています。
フラッシング材は安いものだと
灯油を含有していることがあるので
やたらなものはお勧めしません。
そこでおすすめなのがやっぱりワコーズ。
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WAKO’Sのエンジンフラッシングオイルです。
こちらは灯油分を使用せず、細かいクリアランスまで浸透して、ばっちりエンジンの汚れを落としてくれます。
「OIL」を名乗るだけあって
ベースがエンジンオイルと同じなので
かなりエンジンに優しいフラッシングですね。
フラッシング剤は安いものがたくさんありますが、バイクをいたわりながら整備したいという場合にはぜひどうぞ。
また、フラッシングを実施する場合はエンジン内部の汚れが取れるので一緒にフィルターも交換する事をオススメします。
まとめ
「名だたるものを負って、輝くものを負って、人は氷ばかりつかむ」と中島みゆきが歌ったように、
実はバイクの変化をもっと身近に安く楽しむには、光り輝くSPパーツより「消耗品の質をよくしてマメに管理する」ということの方が近道だということがベストだとおわかりいただけたと思います。
オイルにはチタンのように輝くカッコよさも
カーボンのような派手派手しさもありません。
目に見えないだけに非常に地味な存在ですが、これほど重要な液体パーツはないといってよいでしょう。
筆者もまわりまわって気が付いたのですが、タイヤの選定やチェーンスプロケ3点交換、そしてオイル交換、特にオイル交換は、アクセルを開けるたびににやけるほど楽しい変化が期待できます。
オイルを交換して、車体が軽くなったように思えたり、エンジン音がスムーズになったり、加速が素晴らしく伸びやかになるのを感じるのは快感です!
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